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腱板断裂は、肩の痛みをおこす代表的な病気です。多くの患者さんは腕をあげることができますが、力が入りづらくなります。 また、夜間痛で睡眠がとれないことで受診されます。
腱板は上腕骨と肩甲骨をつなぐ板状の筋腱で、4つの部位に分かれています。これにより、肩関節の安定性を保つともに、関節の動きをスムーズにする重要な役割を担っています。
腱板は骨と骨にはさまれて傷つきやすく、老化によっても断裂します。怪我によることは半数で、残りははっきりとした原因がなく、日常生活動作の中でも、断裂が起きます。断裂型には、完全断裂と不全断裂があります。若い年齢では、投球肩で不全断裂が起こることがあります。
診察では、肩が挙上できるかどうか、動きに制限があるかどうか、腕を挙上し軋轢音があるかどうか、筋の萎縮があるかどうか調べます。レントゲン所見では、肩峰と骨頭の間が狭くなります。超音波検査で、腱板の断裂を確認し、MRIで断裂範囲の確認を行います。
安静にし、炎症を抑えるための痛み止めや湿布などで症状が緩和します。断裂部が治癒することはありませんが、多くの方は保存療法で軽快します。また、痛みや動きの制限によって注射療法やリハビリテーションが行なわれます。注射療法では、夜間痛などの痛みがある場合は、ステロイドを含んだ注射を行うことで痛みが軽減されます。痛みが軽減されたあとはヒアルロン酸の注射を行います。腱板のすべてが断裂することは少ないため、残っている腱板の機能で断裂部を補うリハビリテーションを行い、症状の改善を期待します。
PRP療法は、自分の血液から取り出した成分を使用して、損傷した組織を修復する治療法です。患者さん自身の血液から取り出した成分を使用するので、副作用が少なく、安全性が高いとされています。治療の流れは、まず、患者から血液を採取し、遠心分離機で血液成分を分離します。分離した血小板を損傷した組織に注入することで、組織の修復を促進することができます。
保存療法を行っても、痛みや動きの制限が治らないときは、手術を検討します。
手術には、関節鏡視下手術と直視下手術があります。
関節鏡視下手術は低侵襲で、手術後の痛みが少ないと言われています。手術後は、約4−6週間の固定と3~5ヵ月のリハビリテーションが必要です。
当院では、関節鏡視下手術を連携病院で行っております。
また、腱板の断裂が大きい場合は、大腿部の筋膜を採取して断裂部をおおう関節鏡視下手術を行っております。